函館市医師会(本間哲会長)、公立はこだて未来大(片桐恭弘理事長)、函館高専(伹野茂校長)は24日、医工連携を推進する包括連携協定を締結した。医療ロボティクス分野の開拓加速や地域の医療福祉を担う人材育成が狙い。在宅でリハビリに励む片まひなどの患者が機能回復に役立てる機器開発などの研究を進め、高齢者や障害者が住みやすいまちづくりを目指す。
「脳血管障害」や脳腫瘍の摘出後などにみられる片まひは、急性期を終えた後、院内で定められているリハビリの期間では十分に回復せず、QOL(生活の質)を向上させる在宅リハビリの重要性が高まっている。
同会が運営する市医師会病院(富岡町)と未来大は、2014年から障害の機能回復を促す装置の開発に着手。片まひの患者を対象に、指を自力で動かす意識を養う装置や、病が進行すると手足が動かしづらくなったり、転倒しやすくなったりする「パーキンソン病」の患者向けに、歩行をサポートするなどの装置の研究を進めている。
未来大と学術交流協定を結んでいる函館高専は、この研究に身体活動の支援技術「アシスティブテクノロジー」の観点から評価を加えている。今後、特許取得や商品化を目指すという。
協定の締結で、患者の情報をより迅速に製品開発に反映することが可能になり、これまで築いた連携の活発化が期待される。
市医師会館で行われた調印式では、本間会長は「他の団体も取り入れながら、函館市が医療介護で全国において抜きんでる地域になれば」、片桐理事長は「将来的には医療データを集め、AI(人工知能)の技術を応用することも期待できる」、伹野校長は「全国の高専が持つ技術のネットワークを生かし、函館で新たな技術や情報を提供できるのは喜ばしい」とそれぞれ抱負を述べた。(稲船優香)