函館市青柳町の函館公園のサクラが今年はやや寂しげな状況だ。この冬に飛来したウソなどの野鳥による食害とみられ、場所によっては花芽が極端に少ない枝も。29日には露店や夜桜電飾が始まる中、今年は懸命に咲く姿を優しくめでる花見が似合いそうだ。
花芽を食べたとみられるウソは体長約15センチほどの渡り鳥。函館山は中継地とされ、今年も1月下旬ごろから公園内でも目撃されていた。2009、13年に道南各地で食害が確認されている。公園内を散策していた谷地頭町の男性(75)は「(野鳥だけではなく)昔と比べれば咲けなくなった木も多いと感じている」と話していた。
野鳥に詳しい市立函館博物館学芸員の佐藤理夫さんは「シメなども花芽を食べるが、この冬はウソが多くいた印象は持っていなかった。(花芽の少なさに)知らないところでついばんでいたのだろうか」と話す。市土木部施設管理課によると五稜郭公園でも食害があったとし、「一時的に追い払ったとしても戻ってくるし、野鳥相手では抜本的な対策も難しい」とする。
一方、函館近郊では、北斗市野崎の松前藩戸切地陣屋跡でも一部の木に花芽がない枝が散見された。同市観光課は咲いてみなければ分からないとした上で「例年よりボリュームを欠くかもしれないという印象は持っている」としている。(今井正一)