中国語圏から来函する観光客の増加を受け、函館市消防本部は中国語による119番通報にスムーズに対応しようと、マニュアル作製や職員研修など本格的な対策に乗り出している。対応マニュアルを先月まとめたほか、3日には同本部で、中国人留学生が中国語で想定問答を録音した。同本部は、3月1日までにマニュアルと想定問答のCDを指令センターや各救急隊に配布し、職員研修での活用を目指す。
同本部によると、2016年の1年間で救急搬送した外国人は56人(前年比30人増)で、このうち中国人が16人(同11人増)と3倍に増えている。台湾人も13人(同1人増)と、中国圏の観光客が半数を占めており、同本部では本年度から対応の高度化に向け、対策を進めてきた。
中国語の想定問答を吹き込んだ中国人留学生は、中国南西部の貴州省出身、謝淑君さん(21)。黒龍江省の哈爾浜(ハルビン)師範大学3年時に留学プログラムを活用し、昨春から函館で学んでいる。
昨年11月の119番の日に開催したイベントへ参加したことをきっかけにマニュアル作成作業に関わってきた。謝さんは、自身の声が救急隊員の“教科書”になることについて「緊張するが、役に立つことができて光栄」と話す。北京などで話される標準語の発音には自信があるといい、この日は、通報者からの「車に閉じ込められている」など現場で聞くことになるかもしれないフレーズや、職員の基本対応である「火事ですか、救急ですか」などの発音をマニュアルに沿いながら収録した。
同本部指令2課の高野正悟消防司令は「中国語は声調が4つあるなど発音が難しいが、CDから繰り返し学ぶことで現場で迅速に対応できる力に変えていきたい」と話す。(半澤孝平)