函館市の住吉漁港で25日、深海魚の一種「アカナマダ」とみられる魚が泳いでいるのが発見された。研究者は「道南で見つかるのは珍しい」としている。
25日午後1時ごろ、同漁港で囲い礁の設置作業をしていた市内の建設業、菅原組の作業員が、水深約4メートルの海域を泳いでいる魚を発見し、作業船に引き揚げた。体長1メートルほどで、船に引き揚げたところ、程なくして死んだという。
アカナマダは、謎の生態と神秘的な外見から「幻の深海魚」と呼ばれるリュウグウノツカイの仲間。見つかった魚は体は平べったく、ひれの部分は濃い赤色をしており、同社の工事課長、新谷裕治さん(55)は「これまで海で見たことがない。引き揚げたときは墨を吐いて暴れていた。作業船なのでいけすがなかった」と残念がった。
北大大学院水産科学研究院の矢部衛教授(海洋生物学)によると、リュウグウノツカイにみられる頭の下の細長い腹びれがないことなどから、アカナマダの可能性が高いという。北限が道南とされ、過去にも周辺で見つかった記録が残るといい「温かい海域で、沖合の中層域にいる魚だが、水温が下がったので出てきたのでは」と話している。(千葉卓陽)