【福島】福島町出身の大相撲元横綱千代の富士で、7月31日に61歳で亡くなった秋元貢さん(先代九重親方)の「お別れ会」が3日、同町総合体育館で開かれた。秋元さんと親交のあった町民ら約400人が参列し、冥福を祈った。
町が主催し、妻久美子さんら遺族、現九重親方(元大関千代大海)、近隣市町の首長、議員らも参列した。
会場には現役時代の雄姿を撮影したパネル写真や化粧まわし、還暦の土俵入りで締めた赤い綱などゆかりの品を展示した。
最初に黙とうをささげた後、先代親方と小中学校時代の同級生でもある鳴海清春町長が式辞を述べ、「あなたの偉大な功績を永遠に語り継ぎ、古里福島町の大地を守り、未来の子供たちに引き継ぐことを誓う」と哀悼の意をささげた。
次いで、前田一男衆院議員、高橋はるみ知事の代理で出席した山谷吉宏副知事、同級生を代表し九重部屋後援会の吉田隆悦副会長がそれぞれ追悼の言葉を述べた。
その後、参列者は献花台に花をたむけ、手を合わせた。九重親方は「師匠の相撲道に対する遺志を次ぎ、立派な力士を育てていく」と決意を述べた。
久美子さんは「先代親方は少しでも福島町に恩返ししたい、自分に何かできることができないかいつも気に掛けていた。この夏、新幹線で福島に帰ることができなかったのは残念だが、こうして皆さんとお別れできたことを喜んでいるはず」とお礼のあいさつを述べた。(鈴木 潤)
秋元さんに対し道の栄誉賞特別賞、町の特別功労者(名誉町民)の称号が与えられることとなり、贈呈式がお別れ会に合わせて町福祉センターで行われた。
栄誉賞特別賞は道民栄誉賞受賞者のうち、受賞後も新たな功績を残した人に贈られる賞。秋元さんは1987年に道民栄誉賞を受賞し、引退後も相撲界の発展や後進の育成で功績を残した。4人目。
名誉町民は1987年の深山久三郎元町長以来2人目。
贈呈式では久美子さんら遺族が高橋はるみ知事、鳴海清春町長から表彰状を受け取った。
秋元さんは1955年、福島町生まれ。70年に九重部屋に入門し、千代の富士のしこ名で81年9月には第58代横綱となり、91年5月に引退するまで幕内優勝31回、通算1045勝を挙げた。角界初の国民栄誉賞を受賞。引退後は親方として後進の育成に力を注いだ。
97年の横綱記念館開館以来、九重部屋として毎年町内で夏合宿をするなどして町の振興にも貢献した。(鈴木 潤)