耐震改修工事のため2017年11月から20年3月までの休館を予定している函館市民会館。約1400人を収容できる道南最大規模の大ホールが長期にわたって使用できなくなる影響は、市内の各文化団体に広がっている。代替施設の一つとなる函館市芸術ホールでは1日に、来年11月の利用希望者を対象とした抽選会が行われたが、前年から7団体多い19団体が参加。複数団体の利用が競合する場面も見られた。
市民会館、芸術ホールともに、利用希望者は1年前の毎月1日に抽選を実施する。今月から市民会館が募集しなくなったため、約800人を収容できるホールのある芸術ホールに利用者が集中することが予想されていた。
1日は5団体が同じ利用希望日で競合するなど、早くも“ホール争奪戦”の様相に。無事に利用日を確保した函館演劇鑑賞会の鈴木順子事務局長は「当初は12月に開催を予定していたが、比較的競争率の少ない11月にずらして安全を図った。それでも予想以上にたくさんの利用希望者がいて驚いた。次回以降も確実に会場を確保できるかは不安」と本音を漏らす。
また、年に6回のステージを市民会館で開催してきた「はこだて音楽鑑賞協会」は、来年12月以降は芸術ホールに会場を移すことを検討している。抽選会に訪れた同協会の梶原康男事務局長は「現在約1000人の会員がいるため、芸術ホールだと、公演日数をこれまでの1日から2日に増やす必要がある。(競争が)2日間ホールを確保できるか不安を感じる」と話す。
同協会は1000人規模のホールがある北斗市総合文化センターや七飯町文化センターでの開催も視野に入れていたが、会員へのアンケートでは、アクセスの面から否定的な声が多かったという。梶原事務局長は「2日間公演にすることで経費も膨らむ。年6回から5回公演にすることも検討している」と苦しい胸のうちを明かす。
函館市教委生涯学習部生涯学習文化課は「市民から問い合わせがあれば、市内外の施設の情報を提供したい」とし、予約の調整などは行わないとしている。(小川俊之)