空き地・空き家の増加が社会問題となり昨年4月に不動産の相続登記が義務化されたことなどを受け、函館司法書士会(海老憲一会長)は2月3日から28日まで所属会員の各司法書士事務所で「相続登記に関する無料相談会」を行う。同会は「一人で悩まず、まずは近くの司法書士に相談を」と呼び掛けている。
空き地・空き家は函館でも増加傾向にある。海老会長は「西部地区などでは所有者が亡くなって50年以上、放置されている空き地・空き家もある」と指摘する。昭和の時代に家を建てた所有者の子供が東京や札幌などに出ていったまま帰らず、その子供も亡くなり、相続人が孫やひ孫となって気づかないまま放置されているケースだという。
全国的にも、登記簿を見ただけでは所有者が分からないか、分かっても所有者と連絡が取れない所有者不明土地がここ数年、増えている。国土交通省によると、2023年度に地方公共団体が実施した地籍調査では、所有者不明土地の割合は25・6%に上った。
対策として、国は昨年4月に不動産の所有者が亡くなったときに、不動産の名義を相続人に変更する相続登記を義務化した。だが、「相続手続きの煩雑さから、そのまま放置して収拾のつかなくなったケースもある」と海老会長。道南地域では、長年相続放棄して相続人が100人以上に上り、解決できなかった事例もあったという。
無料相談会では、①相続登記②子がなく相続人が兄弟姉妹になる場合などに備えた遺言、生前贈与など③長年、放置し相続人がわからなくなっているケースなどについても相談を受け付ける。
相談は同会所属の各司法書士事務所で行うが、最寄りの司法書士事務所がわからない場合は同会で紹介する。問い合わせは函館司法書士会事務局(0138・27・0726)まで。(加納洋人)