函館市の港町北部町会館(港町3)で週1回、集まった小中学生の自習を手助けする「自習学館」という取り組みが続いている。ボランティアで活動するのは北大水産学部の学生有志で、同町会(小笠原喜佐子会長)の支援を受けて代が替わっても受け継いでいる。現在は4人が奮闘。メンバーは「集まる子どもとスタッフを増やし、次の代にバトンを渡したい」と話している。
自習学館は2011年、当時の学生が同町会の支援を受け開始。地域と子どもたちのために何かできないかと考えたのがきっかけだったという。その思いは今も変わらない。代表で大学院1年の宮下祥馬さん(22)は「地域に関わることがしたくて参加した。子どもたちのためになれば」と力を込める。
児童生徒が自由に勉強できる場で、分からないところをメンバーが教えるというスタイルもそのまま。スタッフは多いときで学生が10人ほどいて、児童生徒も約50人が集まる時期もあったという。同町会の西村貞夫副会長(67)は「当初は町会館の部屋が子どもたちであふれていた。コロナ禍で一気に減ってしまった」と残念がる。
現在は1日に5人ほどが訪れている。港小、港中のほか、中には少し離れた万年橋小、五稜郭中の児童生徒もいるという。港中2年の男子生徒は「分かりやすく教えてくれるのでとても勉強になる」。初めて参加したという同級生の女子生徒も「丁寧に教えてもらった。理科の予習と復習をした」と満足そうに話した。
メンバーの大学院1年、藤友理佐子さん(23)は教員免許の資格を生かそうと活動を続けている。「子どもたちの成長を感じることができる」と笑顔。宮下代表も「教えたところがテストに出て、答案を持ってきてくれたことがうれしかった」と喜びを語る。
コロナ禍で活動は停滞してしまったが、メンバーは巻き返しを図る。近隣のスーパーに頼んで店内にチラシを張ってもらい、活動の周知に力を入れている。また、これまでは自習のサポートだけだったが、催しの要素を取り入れようと、函館市社会福祉協議会からイベント開催のノウハウを学んだ。15日には自習の時間の後に初めてクリスマス会を開き、自習をした生徒のほか、同町会の住民も参加。ゲームやリースづくりをして楽しいひとときを過ごした。
宮下代表は「たまには催しを行い、自習学館に参加する子どもを増やしていきたい」と今後の活動に意欲を見せた。
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自習学館は参加無料。毎週木曜午後5時~同7時。問い合わせは同町会(0138・43・3292)へ。(松宮一郎)