【福島】福島町内の公園で一個体で性別が異なる特徴を併せ持つ非常に珍しい「雌雄モザイク」と呼ばれるモンキチョウが確認された。道南虫の会の対馬誠さん(67)=函館市=と山下寿春さん(28)=青森県大間町=が16日に発見、捕獲した。体の中心から左側の羽は雄の持つ特徴の黄色、右側は雌の白色ときれいに分かれており、性染色体の異常が原因とされる。2人は貴重な発見を喜んでいる。
対馬さんは函館工業高校の元教員で山下さんは同校生物部の出身。現在は共にチョウを観察する仲間として同会で活動している。
この日は秋に本州へと南下するチョウ「アサギマダラ」の観察のため、松前町を訪れたが成果がなく、函館への帰路に福島町内の公園に立ち寄り、ベンチに座って飛び交うモンキチョウを眺めながら休憩。正午前に羽の色が通常と異なる個体がいるのが目に留まった対馬さんが「雌雄型だ」と叫ぶと、とっさに山下さんが追いかけ、100メートルほど全力疾走の末に捕まえることができたという。
羽を広げた大きさは45ミリほど。飛び方に一般的な個体と差異はなかったが、雌側の白い羽が一回り大きかった。腹部も中心から左右で異なることを目視で確認。標本にした上で道内の昆虫団体の会報での発表を検討している。
山下さんは「本当に2色に分かれていた。捕まえた時はどのくらい珍しいのか分からなかったが後から実感が湧いてきた。今まで地道に昆虫採集を続けてきたおかげ」と喜ぶ。長年チョウの観察を続けてきた対馬さんは「捕まえようと思って捕まえられるものではない。奇跡だ」と驚いている。(今井正一)