全国の和菓子職人が菓子作りの技を競う、全国菓子研究団体連合会主催の技術競技大会で、吉田食品(函館市西桔梗町、吉田貴之社長)併設の「和創菓ひとひら」から、吉田社長(52)が工芸菓子部門に出品し、全部門を通じて2位の準グランプリ、昨年グランプリの今福木乃香さん(26)は上生菓子・引き菓子部門で3位相当の金賞に輝き、師弟での受賞を果たした。
同連合会は全国の菓子研究団体が所属し、年1回総会とともにコンテストを開催。今年は7月8日に大阪市で開かれ、約80人が出品。総会出席の約170人の投票で受賞作品を決めた。
今年のテーマは「未来へつなぐ和菓子の世界」。吉田さんは、来年5~6月に旭川市で開かれる「第28回全国菓子大博覧会・北海道~あさひかわ菓子博2025」に実行委事務局として関わる。作品では開催期間中に旭川でみられるフジ、ボタン、サツキ、ヤマブキといった花を、粉砂糖と米粉で作る雲平で緻密に表現。フジの枝にはシマエナガを添え、菓子博の公式キャラクターでシマエナガをモチーフにした「シマエ大福」も飾った。作品名は1968年以来57年ぶりとなる道内開催に期待を込め「そして北の大地へ」と題した。菓子博の準備に奔走する中での出品となったが、「これ以上ない作品に仕上がった」と笑みを浮かべる。
今福さんは吉田さんから直接技巧を学びたいと入社し、今年で6年目。コンテストは形の違う5種類の上生菓子で表現する「五ツ盛」を出品した。テーマから未来へつないでいきたいものは日本の四季と考え、春の花見酒や秋の月見などを表現豊かに制作。昨年のグランプリ受賞から「今年はプレッシャーもあったが、なんとか金賞を取れて良かった」と安堵(あんど)。コンテストに向けては吉田さんとより良い作品を目指して話し合いを重ねたといい「互いに夜遅くまで制作していたこともあり、2人とも表彰台に上がれて良かった」と喜ぶ。
吉田さんは「同じ店から受賞者が出るのはなかなかないこと。これからは上生菓子に限らず、創作性を取り入れた菓子作りを楽しみながらやっていってほしい」と、まな弟子の成長に期待を込める。(飯尾遼太)