台風10号による影響で、函館―札幌間の特急「北斗」「スーパー北斗」など道内を走る列車の運休が続く中、函館市内のホテルでは予約のキャンセルが出るなど影響が出始めている。列車の運休を知らずに本州方面から函館を訪れ、旅行地の変更を迫られる観光客も多く、関係者の間で好調な函館観光への影響を懸念する声が広がっている。
JR函館線は1日、前日に続き新函館北斗―長万部間が終日不通となり、特急など58本が運休。約7400人に影響をもたらし、JR函館駅では職員らが対応に追われた。
山形県から夫婦で函館を訪れた葛西務さん(70)は、この日運休の知らせを初めて知ったといい、「朝市で昼を食べてから札幌に向かい、2泊する予定だった。新幹線で引き返して盛岡に向かうことにしました」と困惑した様子で話していた。
市内のホテルでは予約客のキャンセルなどの対応に追われている。函館国際ホテル(305室)の担当者は「運休の影響でキャンセルなどの問い合わせがある」とする一方、「函館での滞在を余儀なくされているお客様の当日予約もある」と話す。
湯川地区のホテル関係者は「道内の予約客のキャンセルが多い。新幹線開業で今は本州方面からの旅行客に支えられているが、この状態が続くと一気に予約が落ち込む恐れがある」と不安をのぞかせる。
長引くJRの運休を受け、北海道エアシステム(HAC)は3日に函館―丘珠線で臨時便を運航する。同社によると、同路線は1日以降ほぼ満席の状態が続いているという。
JR北海道は、2日も函館線の新函館北斗―長万部間で列車の運行を見合わせ、函館―新函館北斗間ではこだてライナーのみ運行する。同社は函館線の運休区間について「3日の運行再開を目指したい」としている。(山田大輔、野口賢清)