【上ノ国】町教委が6月下旬から行っている今年度の史跡上之国館跡洲崎館(だて)跡の発掘調査で、1640年以降から江戸時代末までの建物跡とみられる柱を建てた穴、約25個が見つかった。町教委は寺社の跡とみるとともに「調査を継続し、より古い中世の時代の建物跡の発見に努めたい」としている。
建物跡は、昨年度の発掘調査時に見つかった明治から昭和初期のものと思われる柱穴のすぐ北側。砂館神社拝殿から東に約10メートルの地点で、東西に長い縦3・2メートル、横7・4メートルの長方形に、柱間1~1・2メートルで横向きに4列の穴がほぼ等間隔で見つかった。
現場から北に約5メートルの地点では2021年6月に、中世の時代の地層から毘沙門天(びしゃもんてん)像の懸仏が見つかっている。町教委は今回見つかった建物跡について、住居で利用される柱間約1・8メートルよりも間隔が狭く、建物の規模から寺社のような信仰に関わる建物ではないかと推測している。
1640年の駒ケ岳の大噴火によって堆積した火山灰の層の部分から崩して掘り進められた穴のため、1457年築城の洲崎館の建築物ではない。ただ、洲崎館の中枢部とされる区画で初めて見つかり、規模がおおよそ判断できる建物跡であったことから、町教委は館が存在した時代の生活様式を裏付ける建物跡の発見にも期待をかける。
調査期間は12月22日までの予定。埋め戻し期間などを考慮し、掘り進めるのは11月上旬ごろまでで、調査作業実施時は見学自由。問い合わせは町教委文化財担当(0139・55・2230)へ。(入江智一)