【福島】大相撲九重部屋の福島町夏合宿が11日、横綱記念館(福島190)で始まった。町出身の先代九重親方(元横綱千代の富士)が7月31日に急逝し、一時は開催も危ぶまれたが、弟子たちは親方の遺志を継いで予定通り実施した。恒例の朝稽古見学には町民ら約60人が来場し、黙々と四股やぶつかり稽古に取り組む力士の姿を見守った。(小杉貴洋)
夏合宿は1997年から毎年、町が全面的に協力し、この時期に行われている。稽古見学のほか、所属力士が町内のイベントに参加し、交流を育んできた。
今年も力士たちを応援しようと初日から多くの来場者が足を運び、熱の入った稽古に見入った。力士は1時間ほどの四股踏みや腕立て伏せなどのトレーニング、ぶつかり稽古などに取り組んだ。毎年欠かさず訪れているという函館市の無職、板垣貢一さん(65)は「親方がいないとやっぱり寂しいけど、頑張る力士の姿を見るともっと応援したくなった」と話す。
稽古風景を見守った同町の鳴海清春町長は「きっとどこかで親方は見守ってくれているはず」と感慨深げ。十両の千代皇は「落ち込んでばかりいると親方に怒られそう。気合いを入れ直して夏合宿に臨み、親方やたくさんの期待の声をくれる人たちに恩返ししたい」と意気込んだ。15日に九重親方(元大関千代大海)が来町する予定。
同館には現在も献花台と記帳台が設けられ、訪れる人は途切れない。実姉で副館長の小笠原佐登子さんは「ここまで愛してくださるファンの方々にただ感謝」と話していた。夏合宿は22日までで、朝稽古の見学は21日までの午前8時から約2時間。献花、記帳の受け付けも22日まで行われ、期間中は入館料無料となる。