函館駅前通の歩道に設置されているアーケードの撤去工事が8月6日から始まる残存するアーケードは11カ所で、夜間に作業を行い、1カ所当たり2~3日で終了を予定大門地区に残る昭和の風情のひとつが9月中には姿を消すが、撤去を皮切りに北海道新幹線開業後を見据えた駅前通全体の再整備が本格化する
大門地区のアーケードの歴史は古く、北洋漁業再開を記念した北洋博覧会が開かれた1954年に一部区域に整備現在のアーケードは77~78年に歩道のカラー舗装と同時に整備され、造船不況に陥っていた旧函館ドックが製造した築38年が経過し、鉄製の上屋はさびが目立つほか、一部で雨漏りするなど老朽化している
撤去は市中心市街地活性化基本計画の事業で、函館都心商店街振興組合(渡辺良三理事長)が実施市は総事業費の9割に当たる5560万円を同組合に補助する
道警との歩行者用信号機の移設の調整や深夜まで営業している飲食店などにも配慮しながら、6日以降に順次撤去を進め、9月中旬ごろに終了を予定店舗とアーケードの接合部分の外壁補修も今後、進める考えだ
駅前通では今後、電柱類の地中化が予定され、各事業者による上下水道管やガス管移設のほか、函館開発建設部が本年度から電線共同溝の整備工事を始める全体整備完了には数年を要する見通しだが、入り組んだ市電の架線類を減少させる吊架方式の変更や、集客拠点としてのグリーンプラザの整備も進められる函館の玄関口の顔として、空が広がる新たなメーンストリートに生まれ変わる
渡辺理事長(68)は「市内でアーケードのある商店街はここだけで、ランドマークだった」と思い入れを語る一方、駅前・大門地区の復興に期待を寄せ、「組合員の意識も変わってきている冬場も地域で協力しながら、今まで以上にきれいで歩きやすいようにしていく」と話す市経済部中心市街地再生担当の平井尚子参事は「函館の顔として集客力や回遊性が高まるよう整備を進めていく」としている(今井正一)