4月に入り、函館市内の高齢者宅の固定電話に、警察官を名乗る不審電話が相次いでいる。手口は、うその事件捜査協力を持ち掛けたり、現金の支払いがないと年金を停止するなど理不尽な内容で相手の不安につけ込み、金銭を要求するのが特徴。15日の年金支給日を狙った犯行も懸念される中、道警は注意を呼び掛けている。
7日午後0時35分ごろ、80代の男性宅に男の声で「犯人を現行犯で捕まえるために、警察官が張り込んでいる。5万9000円を置いて」とあり、男性は「お金をもう使いたくはない」と電話を切った。同日午後1時45分ごろには、80代女性宅に男の声で「函館中央署ですが」と言われ、女性が「中央署の電話番号を教えて」と応じると一方的に電話を切られたという。
函館西署によると、この男性と女性は2月に同様の手口に巻き込まれ、玄関と郵便受けに置いて現金が何者かに持ち去られる被害に遭っていた。
10日には別の2人の80代女性宅に男女の声で「警察です。詐欺グループが、あなたの口座を悪用しています。預金が引き下ろせなくなります」とあった。2人は電話を切って現金を盗まれる被害はなかった。
12日には70代女性宅に、函館中央署の署員をかたる男が「この辺を捜査している。年金生活の人に変な電話が掛かってきて、詐欺とかがあるので気をつけてください」という予兆電話のあと、別の男が「18万円を支払わないと年金が止められる。5万でも1万でもいいから出して。取りに行く」と要求され、女性が「お金はない」と答えると男が電話を切った。
捜査関係者によると一連の不審電話は、古典的な特殊詐欺事件に発展する恐れがあり「一方的に迫られると、身に覚えのない話でも動揺してしまう高齢者を狙っている」とする。防犯の一環で道警は事業者と連携し、固定電話に専用線をつなぐと犯罪歴のある番号などを認識、注意喚起する「迷惑電話チェッカー」の活用を呼び掛ける。9月まで月額基本料無料で10月以降は667円。
同署管内の町会関係者も「不審電話の手口などを地域に広く伝え、個々で防犯の心構えを改めなければ」と気を引き締めている。(田中陽介、半澤孝平)