函館中央署が2月15日に強姦致傷容疑で逮捕し、その後体調不良を訴えたため診察に訪れた病院から一時逃走した少年(17)が両手に付けていた手錠が、1日に函館市根崎町と湯川町3の境界付近の砂浜で見つかっていたことが2日、関係者への取材で分かった。手錠の一つが電動工具で切断された可能性が高く、道警は第三者による手助けの有無を含め、逃走時の状況を調べている。
関係者によると、1日午前10時ごろ、函館西署員が少年の供述に基づき根崎町の工業所に入り、作業小屋内の電動工具で切られたと思われる鉄粉やコンクリート地面の不自然なカッター痕を確認し、近くの浜辺を捜索してすぐに手錠が見つかったという。
手錠の一つは2カ所切断された状態で、コンクリート護岸に無造作に置かれていた。もう一つは近くの海よりの砂浜にあった。ホテルと市熱帯植物園の近くで、砂浜から作業小屋へは護岸横の階段で行ける。関係者によると、少年が「大森浜」と供述しているといい、函館山側から根崎に入った可能性もある。
電動工具は、屋根瓦を切るダイヤモンド刃で重さ約3キロ、片手で操作が可能。逃走当日、小屋で作業はなかったが、シャッターの鍵は開いていた。
現場の状況から、少年は小屋に入って、壁にある電源ブレーカーを上げ、入り口近くにあった電動工具で手錠を切断したとみられる。大きなカッター音はシャッターを閉じると外部に漏れにくく、時折、工業所で夜間作業もあることから、周りの5軒ほどの民家が夜間の異常に気づくのは難しかったと思われる。
工業所関係者は「ここに手錠があるとは驚いた。工具を使ったことがないと、これで切断しようとは思わないはず。瓦を切るものなので、時間をかければ切れると思うが、随分手際がいい」とし、工業所と少年の関係については「誰なのか分からないので、心当たりもない」と話した。
道警は、見つかった手錠について形状から少年に付けていたものだとしているが、手錠の切断状況や少年の逃走経路などについて、取り調べ中を理由に公表していない。