函館市恵山町の恵山岬沿岸で、和光汽船(愛媛県)所有のタンカー「さんわ丸」(3919トン)が座礁した事故で、10日午前10時半ごろ、タンカーを沖へ引き出す作業が始まった。民間サルベージ会社所有の船がタンカーを引っ張って離礁を試みたが、船体は動かず、同日の作業は取りやめた。
引き出し作業は7日にもサルベージ会社が行ったが、タンカーの係留装置が破損し中断。10日までに破損部分の補強などを終え再試行した。作業は十分な浮力を確保するため、10日午前の満潮に合わせ実施。船内に貯留する海水を抜くなどして作業を進めたが、浮力が足りず離礁には至らなかった。
現場付近の海岸には、多くの漁業関係者や近隣住民が集まり作業を見守った。恵山町で漁師を営む60代の男性は「家族でもウニなどの被害に関する話題で持ち切り、生活に直結する問題なので迅速に対応してほしい」と話していた。
11日は、再度引き出し作業をするため、タンカーが積んでいる燃油や生活用水の抜き取りを行う予定。(中島遼泰郎)