【北斗】任期満了に伴う北斗市長選が16日告示され、無所属で現職の池田達雄氏(62)が立候補を届け出た。午後5時に届け出が締め切られ、ほかに届け出がなく、池田氏は、無投票の再選を果たした。
池田氏は午前9時ごろに選挙事務所前で第一声をあげ、選挙カーで市内を遊説した。午後5時過ぎ、事務所に到着すると、集まった支持者らから盛大な拍手で迎えられ、万歳三唱の中、深々と頭を下げた。
木村英一後援会長が「北斗市の未来に向けて頑張って」と激励。登壇した池田氏は「1日だけでは市内をくまなく回ることができず、公約を十分に訴えることができなかった。私に委ねられた責任の重さを痛感している」とした上で「市民目線の市政運営とSDGsの2つを目標に、市民みんなが幸せになれる、笑顔あふれる街を目指す」と2期目に向けた決意を述べた。
出席者は滝口直人道議の発声で、お茶で乾杯し、池田氏の再選を祝った。
池田氏は1960年、旧上磯町(現北斗市)生まれ。98年に同町議会議員に初当選。北斗市議を経て2011年から議長を務めた後、18年、高谷寿峰前市長の逝去に伴う市長選で初当選した。(神部 造)
一問一答
池田達雄氏は16日、函館新聞など報道機関のインタビューに応じた。一問一答は次の通り。
―無投票再選の受け止めは。
人口減少問題、産業の育成など前回選挙で掲げた7項目に「SDGsと都市生活環境づくり」を加えた公約8項目を掲げた。他に候補者がいれば、投開票までの1週間で市民に訴えることができたが、今回は無投票のため訴えの機会が1日しかなかった。私に委ねられた責任は重大と受け止めている。
―最優先で取り組む課題は。
コロナ対策、そして、人口減対策は待ったなしだ。今回の公約は新年度当初予算にもしっかりと反映させるつもりだ。子育て支援とともに、20歳前後の人口流出を止めるため、若者の雇用確保はすぐに手をつけなくてはいけない課題だ。
市の子育て支援策は現状でも全国トップレベルと考えているが、今回の公約にも(第2子以降の給食費無料化など)さらに充実した支援策を盛り込んだ。市として子育てを応援する姿勢をしっかりと示していくのが私の役目だと考える。
―事業の選択と集中についての考えは。
公共施設は原則新設せず、旧上磯町と旧大野町で重複しているものは老朽化が進んだものから整理を考える。運動公園のバリアフリー改修など、今ある施設を時代に合わせて有効活用する対策は講じていく。
解説
北斗市長選で現職池田達雄氏が無投票再選を果たしたのは、常日頃から「市民目線」を強調して市議会とも連携を図り、市民の関心事でもある新型コロナ対策をスピード感を持って展開するなど、実績が評価されたためと言える。
無投票当選は2014年以来8年ぶり。池田氏は昨年9月の市議会定例会で出馬表明して以来、対抗馬をめぐる動きについて、池田氏陣営では「最後まで気を抜けない」(後援会幹部)と警戒していたが、最終的に具体化しなかった。
コロナ対策で池田氏は、19弾にわたる経済対策を矢継ぎ早に打ち出し、昨年10月にはワクチン接種をほぼ完了させるなど、市民、市内事業者からも信頼を得た格好。コロナ対策の補正予算では専決処分を避け、臨時会の招集で対応するなど、市議会議長経験も生かし議会と密接な連携姿勢を貫いたことも大きい。
池田氏は「1期目で掲げた公約は全て予算化、事業化できた」とするものの、最大の問題は20年国勢調査では前回比4・4%減だった人口問題だ。子育て支援を充実させても目に見える効果が出ておらず、出生数の減少が加速。新幹線開業効果を発揮してJR新函館北斗駅前の活性化や企業誘致につなげられるかなど手腕が問われる。