函館市民文化祭の舞台部門として、函館出身の喜劇俳優益田喜頓さん(1909~93年)原作の函館市民ミュージカル「案山子(かかし)物語」メモリアル上映会が15日、市民会館大ホールで開かれた。約160人が訪れ、約11年前に制作された市民の作品を楽しんだ。
2009年8月に同ホール、9月に東京都台東区の浅草公会堂で上演。函館市栄誉賞第1号受賞者でもある喜頓さん生誕100年記念事業として企画され、市や文化団体など9機関・団体でつくる実行委と公募による小学生から社会人までの市民キャストらが約1年かけて作り上げた。
物語は大野町の畑に立つかかし「ペコ」が台風で飛ばされ、自由に歩ける足を得るために3つの顔を身につけようとスズメ3羽と共にパリやニューヨークなどを巡るもの。戦争から復興している途上国では、地雷で足を失った少女との出会いが「ペコ」の考えに大きな影響を及ぼすなど、喜頓さんの平和を希求する心が描かれた作品に来場者は引きつけられていた。
当時大野町民役などで出演していた古林園恵さん(37)は「あらためて見ると感動した。小学生で出演していた子たちがもう大学生や社会人だと思うと感慨深い」と当時を懐かしそうに振り返っていた。(伊藤 尚)