函館の歌舞伎役者、市川団四郎さん(78)が主宰、指導する「函館子ども歌舞伎」の12回目の自主公演が7月28日に市芸術ホールで開かれることが決まった。2017年11月の前回以上の本格的舞台を目指そうと、今月23日からクラウドファンディング(CF)による資金調達を開始。函館や北斗の年長園児から中学3年生までの22人が出演し、舞台の成功に向けてけいこに励んでいる。
函館子ども歌舞伎の歴史は1989年に始まり、13年の第10回公演を最後に一時活動を休止。前回公演からは保護者らでつくる「函館子ども歌舞伎を育てる会」(佐藤観生会長)が主催となり、「加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)」などを披露して伝統を繋いだ。昨年も町会の行事やイベントでの出演依頼をこなすなど活動を続けた。
次回公演に向けて、昨年7月に会場を押さえ、秋から毎週土、日曜日に函館新聞社3階ホールでけいこを開始。出演者のうち、〝ベテラン勢〟は4人で、15人は2回目、3人は初舞台とフレッシュな顔ぶれだ。
事務局の古谷美紀さんは「前回の公演後、たくさんの方々から『良かったよ』の言葉をいただいた。初舞台だった子は『次はあの役を』、ベテランの子は『さらに難しい役を』と意欲的で、何よりも団四郎先生の熱意が大きい」と話す。
今回の演目は、明智光秀らが登場する戦国時代物の「絵本太功記 十段目 尼ケ崎閑居の場」、ベテラン勢が中心に演じる「三十三所花の山『壺坂霊験記』沢市住居より谷底まで」、子ども歌舞伎には欠かせない「白浪五人男 稲瀬川勢揃いの場」の3本を予定。市川さんは「前回以上にやる気満々の子どもたち。必ず面白いものになる」と指導にも力が入る。
CFは前回同様、函館ゆかりの信販大手ジャックス(本社・東京)の協力を得て実施。目標金額は100万円だが、到達金額にかかわらず資金を得られる仕組み。サポート金額は3000円からで、プログラムへの氏名掲載や観覧チケットなどの返礼品(リターン)を用意した。
前回は資金難から義太夫らを招くことなど、プロの手が必要な部分に十分な経費をかけることができず、演出上の制限があったという。公演経費の大半は同会の自助努力で調達するが、CFで得られた資金は舞台装置や衣装などの経費に充てる。古谷さんは「子どもたちのためにも満足できる舞台を用意したい」と、協力を呼び掛けている。
CF実施期間は4月22日まで。ホームページアドレスは(https://www.countdownーx.com/ja/projects/jaccs)、問い合わせは事務局(080・4040・0728)=午前10時~午後5時=へ。(今井正一)