【木古内】佐女川神社などで13日に開幕する伝統神事「寒中みそぎ祭り」を前に、行修者を勇壮に盛り立てる「みそぎ太鼓」と、14日に同神社内特設ステージで荘厳に演じられる「みそぎ囃子」の練習が熱を帯びている。幅広い町民が取り組んでおり、町の文化を次の世代に継承しようと奮闘している。
みそぎ太鼓は、50年ほど前に当時の小島義三町長(故人)の後押しで始まり、以来、祭りに欠かせない要素として多くの町民に親しまれてきた。「別当」「稲荷」「山の神」「弁財天」の4章からなり、今回のみそぎ祭りでも、未就学児から70代までの幅広い世代の町民により「稲荷」を除く3章が披露される。
木古内中学校3年の岩崎歩海さん(15)は、兄で函館水産高校3年の慎吾さん(18)とともに、5歳の時から太鼓に取り組む。「たたいている間は、何も考えないでスッキリできる」のが醍醐味だという。
歩海さんは昨年11月に開かれた中学生議会で、「参加者が減っているみそぎ太鼓に、もっと興味を持ってもらいたい」という思いから、大森伊佐緒町長に太鼓の伝承についての考えを質問。町長から「9月に和太鼓ワークショップを企画した。残念ながら胆振東部地震で中止したが、今後もこの取り組みを継続したい」との答弁を引き出した。
みそぎ囃子は約40年前に始まり、いったんは途絶えたものの、新井田記子さん(61)らが約20年前に復活。3日に開かれた町の成人式でも披露した。4人の舞い手の一人、上野しずくさん(25)は「幼いころからきれいだなと憧れていた」といい「神にささげるものという(おごそかな)気持ちで舞っています」と話す。新井田さんは「今は人数が少なくてできない演目もあるが、上野さんのような若い人にもっと入ってもらえたら」と呼び掛ける。
みそぎ太鼓、みそぎ囃子についての問い合わせは、松村信子さん(090・3392・3826)へ。(神部 造)