江戸時代後期の浮世絵師歌川広重(1797~1858年)の版画を展示する特別展「歌川広重 二つの東海道五拾三次 江戸っ子たちの旅ログ!?」が5日、道立函館美術館で始まった。広重が最初に手掛けた1833年刊行の「保永堂版」と15年後に手掛けた「丸清版」を、大正期、現代の各宿場の写真と合わせて展示している。11月25日まで。
江戸と京都を結んだ東海道は約495キロあり、53の宿場が設けられた。広重は20種以上の東海道シリーズを手掛けたとされ、展示した「五拾三次」は、各宿場と出発地の江戸・日本橋と到着地の京都・三条大橋を加えた55枚で構成する。当時、弥次さん、喜多さんで知られる十返舎一九の「東海道中膝栗毛」のヒットに端を発した旅ブームが起こった時期で、自宅にいながら東海道を旅することができる浮世絵も大人気となったという。
開会式で堤邦雄館長があいさつした後、同館の星野靖隆学芸員が展示内容を解説。箱根について星野さんは「保永堂版は芦ノ湖を挟んだ富士山より大きく、切り立った山を描いて箱根の山の厳しさを表した。丸清版は旅する人々に焦点を当てている」などと話した。
同館学芸員による展示解説は、6日と11月17、24日の各午後2時からも行われる。10月21日午後2時からはミュージアムコンサートとして箏曲美音和会主宰の箏奏者、宮崎加奈古さんらを招く。いずれも観覧券が必要で、料金は一般920円、高大生610円、小中生300円。問い合わせは同館(0138・56・6311)へ。(今井正一)