函館カトリック元町教会(函館市元町15)の聖堂で29日、伝統的建造物の魅力を美しい音楽とともに楽しんでもらう「2018でんけんコンサート」が開かれた。世界的なチェロ奏者のルドヴィート・カンタさんらによる素晴らしい演奏が会場に響き渡り、200人以上の来場者を魅了した。
函館市伝統的建造物群保存会(小林敏夫会長)の主催。西部地区の歴史的景観を守り、伝建地区の魅力を市民に広める目的で、毎年さまざまなアーティストを招いている。
出演者のカンタさんは、スロバキア出身でスロバキア・フィルハーモニー管弦楽団の第1ソロ・チェリスト・コンサートマスターとして活躍。1990年から今年の3月まで、オーケストラ・アンサンブル金沢の首席奏者を務めた。
コンサートには、カンタさんに師事し、現在は函館に在住するチェロ奏者の清水彩智さんも出演。前半は2人による息の合ったアンサンブルで、バリエールの「2つのチェロのためのソナタ」などを演奏。後半はカンタさんがソロでバッハの傑作「無伴奏チェロ組曲第6番」を、深い抒情性とふくよかな音質、軽やかなリズムで鮮やかに弾き上げ、聖堂内に豊かな弦のサウンドが広がった。
終演後、カンタさんは「雰囲気のある素晴らしい会場で演奏ができてうれしい」と日本語であいさつ。清水さんは「カンタ先生の魂の込められたバッハを、たくさんの函館の人に聞いてもらえて感激している」と話していた。(小川俊之)