【木古内】佐女川神社(町木古内、野村広章宮司)は毎年1月の「寒中みそぎ神事」に臨む行修者(ぎょうしゅうしゃ)を募集している。「厳寒の荒行に耐え得る心身ともに健康なこと」など要件を初めて明文化した。来年の神事に向けて2人の行修者が必要で、地域に根付いた約200年の伝統のつなぎ役を求めている。
地域の豊漁、豊作を祈る神事は1831(天保2)年に始まったとされ、1月13~15日の3日間行われる。行修者は1年目の弁財天に始まり、山の神、稲荷、別当を4年間で順次務め、毎年1人ずつ入れ替わる。昼夜を通した水ごりで心身を清め、最終日には御神体を抱えて津軽海峡で沐浴する。昨年11月には道指定無形民俗文化財となった。
近年は人口減少を背景にした担い手不足に直面し、野村宮司(68)は「町内も子どもの数が減り、10年ほど前から行修者の確保に厳しさは感じている」と話す。これまでも祭典期間中に翌年の挑戦を志願する人がいたり、年末まで決定がずれ込んだ事例、中学校在学中に始める人もいる。今年1月は内定者が健康上の理由で務めることができず、急きょ経験者が代役を務めたことから、来年の行修者として新たに弁財天、山の神の2人を探す必要がある。
要項には、35歳までの未婚者、海中で水泳ができるなどの要件、行修者に支給される謝礼や旅費、散髪代の支給や生命保険加入なども明記。ポスターやちらしをつくり、函館市内の高校や大学などにも掲示を依頼し、SNSでも発信中だ。これまで同様に経験者らでつくる鍛錬部、氏子ら神社関係者による声掛けも継続して行う。野村宮司は「神事をまず広く知ってもらうことにもつながる。伝統行事をつなげていく人を広く募りたい」と期待を寄せる。
応募は市販の履歴書に写真、動機を添えて11月30日までに同神社に郵送。後日、面接を実施する。問い合わせは同神社(01392・2・2135)へ。(今井正一)