函館出身で、国際的な創作舞踊家、大道芸人として活躍するギリヤーク尼ヶ崎さん(94)の芸歴55周年記念函館公演「祈りの踊り」が14日、はこだてグリーンプラザで開かれた。函館公演は3年ぶり。約120人が見守る中、魂の踊りを披露した。
車いすに乗って登場し「函館に帰ってきました」とあいさつ。海外で踊りを披露した経歴を紹介し「世界一の幸せ者です」と話すと大きな拍手が送られ、涙目の観客も見られた。
演目は、車いすから立ち上がって三味線に見立てた小道具を叩く「じょんがら一代」、観客と一緒に踊り笑顔も見せた「よされ節」に続き、最後は「念仏じょんがら」。車いすに乗りながらも、こん身の力で大きな数珠を手に持って振り回したり、母静枝さんの遺影を持ちながら「母さーん」と叫んだりする情念の演技で大喝采を受けた。また、声を振り絞り「未来を担う子どもにこの踊りを伝えたい。そのために生まれてきた」と話した。
終演後は記念撮影に応じ、感動した観客から「お元気で」「また函館で踊ってください」と声を掛けられた。函館市駒場町の主婦、嵯峨牧子さん(68)は「ギリヤークさんの踊りは熱を発し、見ている人の心を灯すので誰もが見に来ると思う。母ら重要な人の名を呼び、語り掛けている様子などで短歌を詠んでみたい」と話した。
ギリヤークさんは1930(昭和5)年函館生まれ。68年から街頭公演、海外公演を重ねた。今年は能登半島地震の被災地、石川県輪島市で犠牲者を供養する踊りをささげた。
(山崎純一)