野菜好きの人が野菜を好きになったきっかけの一つに子どもの頃の栽培や収穫体験があることが、食品メーカー大手のカゴメ(本社・名古屋市)の調査で分かった。栽培や収穫体験が野菜を好きになる要因として大きく影響しており、子どもに対する「食育」の重要性が浮き彫りになった。
調査は、昨年10月上旬に実施、全国の男女4680人(15~69歳)にインターネットを通じ回答を得た。
結果によると、野菜好きの66・9%が子どもの頃に「野菜の種植えや水やり」、70%が「実った野菜の収穫」を経験していると回答。また、「経験あり」の人は「経験なし」の人に比べ、野菜好きのスコアが30ポイント以上高いことが分かった。
栽培や収穫を体験する機会(複数回答)では「親戚や親族、知り合いの畑の手伝い」「地域の行事」が共に81・8%で最も高く、次いで「家庭菜園」(81・7%)、「保育園・幼稚園や学校の行事」(78・4%)、「農家主催の体験会」(74・8%)の順。家庭菜園や親戚の畑の手伝いなどで身近で日常的・長期的な野菜と接点を持つ人は、8割以上が野菜好きになる傾向が明らかになった。
野菜好きが栽培から収穫まで体験したことがある野菜の1位は「トマト」(43・4%)で、2位は「キュウリ」(24・8%)、3位は「ナス」(21・5%)、4位は「ピーマン」(18・6%)と続いた。これらの野菜は、草丈が伸びる、花が咲く、実がなる、色が変わるなど生長の変化が分かりやすく、楽しさがより感じられるため、野菜好きになる効果的なきっかけになっているようだ。
トマトは「おいしくて積極的に食べたい野菜」ランキングでも上位を獲得しており、生長過程が顕著に実感しやすく、食べる際もレシピのバリエーションが豊富なため、特にミニトマトは家庭菜園で楽しむには最適だとしている。
ひそかに人気を集めている〝隠れ推し野菜〟は「パプリカ」と判明、トマトと同様に生長過程が実感しやすく、料理のレシピも多彩なことから、家庭菜園で楽しめる要素が多い。
同社は「子どもの頃にさまざまな栽培・収穫体験をすることで、野菜を好きになるきっかけになり、大人になっても習慣的に野菜を多く摂取できている要因になっている」と分析している。
北斗市4Hクラブは、北斗市渡小学校4年生を対象に、ラッカセイ栽培を通じた食育活動を展開。今年で5年目になり、子どもたちがラッカセイの播種(はしゅ)や定植、草むしり、収穫などの貴重な体験を積む。佐々木理充会長(34)は「農業体験を通じ、野菜がどう育つのかを知ってほしい。将来は地元の野菜を選ぶ大人に育ってくれれば」と期待を込める。(山崎大和)