感染性胃腸炎に気をつけましょう

　冬の感染性胃腸炎の半数以上は、ノロウイルスが原因によるものです。主に冬季に多く11月頃から流行しはじめ、12～２月にピークを迎えますが、１年を通して発症が見られます。
　ノロウイルスはほとんどが経口感染で、ウイルスに汚染されたカキなどの二枚貝を生食したり、十分に加熱処理をしないで食べた場合や感染した人の嘔吐物や便が手や指について、その手を介してほかの人へも感染します。
　ノロウイルスは感染力が非常に強く、10～１００個と極少量でも感染し発症します。感染してから半日～２日後に突然の嘔吐や下痢、軽い発熱に加え腹痛などを伴うこともあります。発症後、通常は２～３日程度で症状は治まりますが、抵抗力の弱い高齢者や乳幼児は脱水症状が強くなることもありますので、注意が必要です。
　現在、ノロウイルスに有効な薬はないため、医療機関では症状を緩和させる対症療法となります。脱水にならないように水分を補うことが一番大切ですが、吐き気や嘔吐の症状がひどく経口摂取が困難な場合は、点滴を行うこともあります。
　ノロウイルスはワクチンがないため、感染を予防することは容易ではありません。最も大切で有効な予防法は、流水と石鹸で手を洗うことです。帰宅後や食事の前、トイレの後などは念入りに洗ってください。
　また、家庭内でノロウイルスに感染した人の嘔吐物や便の処理をするときは、市販されている塩素系の消毒剤（商品名：ミルトンなど）や家庭用漂白剤（商品名：キッチンハイターなど）を使用しなければ効果的な消毒はできません。市販の消毒剤は水で薄めて使用し、濃度は０・02～0.1％が有効とされています。ノロウイルスは乾燥すると空気中に舞い上がり、それを吸引すると感染することがありますので、使い捨てのマスクとエプロンを着用し、速やかに処理してください。
（ハコラク　2019年4月号掲載）

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西堀病院
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