「心臓弁膜症」という病気について
心臓の内部は右心房、右心室、左心房、そして左心室と名前が付いた4つの部屋に分かれていて、部屋は「弁」で仕切られています。この弁は、それぞれの部屋が次の部屋に血液を押し出すときに開き、心臓の中の血液が逆流しないで一方向だけに流れるように整える働きをしています。「心臓弁膜症」とは、この「弁」のいずれかに異常が起こり、正常に働かなくなった状態のことで、弁の開きが悪くなって血液の流れが狭くなる「狭窄」、弁がしっかりと閉じなくなり血液が逆流してしまう「閉鎖不全」、そして「狭窄」と「閉鎖不全」が同時に起こることもあります。心臓弁膜症の原因はさまざまですが、最近では高齢化に伴って、弁の硬化(弁に起こる動脈硬化)の割合が増えてきています。
心臓弁膜症があると心臓に負担がかかり、やがて心臓の働きが低下する「心不全」という状態に陥ります。心不全になると、胸の痛みや息切れ、動悸、足のむくみ、体重増加などの症状が出てきます。心臓弁膜症は心不全まで進行してしまう前に適切な診断と治療が受けられることが理想ですが、初期には特徴的な症状が少ないために「この症状が出たら心臓弁膜症だ」と自分で判断するのは難しいかもしれません。
心臓弁膜症は心エコー(超音波)検査で異常のある弁を特定し、弁の動きや狭窄・逆流を捉えることで病気の程度を確認することができます。心エコー検査は痛くない上に短時間で済み、現在の症状を細かく知ることができる有用な検査です。
重症な心臓弁膜症と診断された場合は手術治療も検討することになりますが、軽症であれば生活習慣の見直しや内科的治療で、心臓への負担を減らして通常の生活を送ることが十分に可能です。少しでも不安な症状・いつもと違う症状が見られた時は、早めに病院を受診して検査を受けることをおすすめします。
(ハコラク 2023年1月号掲載)
略歴
平成6年、福島県立医科大学医学部卒業後、同附属病院、新東京病院、総合南東北病院、仙台厚生病院、国立病院機構水戸医療センター、前橋赤十字病院、国立病院機構函館病院、市立函館恵山病院勤務を経て、令和元年に市立函館病院に着任。日本循環器学会循環器専門医、日本外科学会外科専門医、日本胸部外科学会心臓血管外科専門医、日本心臓血管外科学会心臓血管外科専門医、日本血管外科学会心臓血管外科専門医。
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