腎臓・尿管結石について
腎臓や尿管に、尿の中の成分が固まって石のようになったものが「結石」です。結石ができる主な原因としては、水分不足(尿が濃くなり、石ができやすくなります)、食生活(動物性たんぱくや塩分、シュウ酸〈ホウレンソウ・チョコなど〉を多くとると、結石ができやすくなります)、体質・遺伝(結石ができやすい体質の方もいます)、生活習慣病(肥満、糖尿病、高血圧なども関係しています)が挙げられます。
腎臓結石では無症状のことがほとんどですが、尿管結石ではほとんどの場合は症状が出てきます。代表的な症状としては、突然の激しい背中やわき腹の痛み、血尿、吐き気や嘔吐などが挙げられます。
結石は水をよく飲むことや、バランスの良い食生活を心掛けることで予防が可能です。しかし、結石の自然排石が期待できない場合や、結石が原因となった腎盂腎炎を発症した場合には手術が必要です。腎臓・尿管結石に対する手術機器は、近年大きく進歩し、従来の開腹手術に代わり、現在では主に体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、経尿道的結石砕石術(TUL)、および経皮的腎結石砕石術(PNL)が用いられています。近年はTULがほぼ治療の第一選択肢となっています。
TULは尿道から内視鏡を挿入し、尿管や腎盂内の結石を直接観察・砕石・摘出する手術で、近年は柔軟性の高い軟性尿管鏡や、ホルミウムレーザーやツリウムレーザーの導入により処置の精度と安全性が大きく向上しました。これらの機器の進歩により、手術時間の短縮、合併症の減少、術後の早期回復が可能となっており、患者さんのQOL(生活の質)向上に大きく寄与しています。
尿管結石による痛みは耐え難いものですし、結石による腎盂腎炎は時には重篤な敗血症性ショックを引き起こしてしまうので、腎臓結石・尿管結石でお困りの際は、泌尿器科を受診してください。
(ハコラク 2025年12月号掲載)
略歴
平成18年、北海道大学医学部卒業後、北海道社会保険病院、北海道泌尿器科記念病院、北海道大学病院、北海道がんセンター、帯広厚生病院、市立旭川病院、旭川厚生病院、市立札幌病院、JCHO札幌北辰病院に勤務。平成31年から函館中央病院泌尿器科科長を務め、令和7年、診療部長兼ベッドコントロールセンター長就任。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医。



