ロボット(支援下)手術について
ロボット手術はアニメでおなじみの人型ロボットが手術を行うわけではありません。患者さんの脇にはペイシェントカートと呼ばれる〝立ち木〟が設置され、〝枝状〟に配置されたロボットアームに装着された手術器具や内視鏡を、身体に開けた小さな穴から挿入します。医師はサージョンコンソールと呼ばれる〝運転席〟の中で、内視鏡画像を見ながらロボットアームを操作して手術をします。 ロボット手術の特徴として鉗子の動きがあります。ロボットアームは多関節で、その関節可動域が大きいために、自由でスムーズな動きが可能です。また、手ぶれ防止機能やモーションスケール機構(動かした手の幅を縮小して伝える)により、細い血管の縫合など精緻な作業も正確にできます。さらに3Dカメラによる奥行きのある高精度拡大画像で、細部まで確認しながら手術を進めることができます。 現在、国内で承認されているロボットは米国インテュイティブサージカルの「da Vinci」、国産メディカロイドの「hinotori」、コヴィディエンジャパンの「Hugo」の3種類です。なお、道南では市立函館病院と五稜郭病院に「da Vinci」が導入されています。
ロボット手術の保険適用は2012年の泌尿器科の前立腺手術から始まり、2018年には呼吸器、循環器、消化器、婦人科の領域で12術式、2022年には耳鼻科領域も加え合わせて25以上の術式が適応となっています。(hinotoriとHugoは泌尿器科と婦人科領域のみ)。
ロボットは設置されたら、すぐに手術できるものではありません。安全性を担保するために、関連学会などが定めた〝術者要件〟を満たす必要があります。先行施設への見学や指導者のもとでの手術のほか、関係するスタッフ全員での手術シミュレーションを行うことも必須です。今後、さまざまな術式への適応拡大が予想されますが、安全性を担保しながらの普及が期待されます。
(ハコラク 2023年3月号掲載)
略歴
平成2年、北海道大学医学部卒業後、同大医学部附属病院、市立札幌病院勤務などを経て、財団法人がん研究振興財団リサーチレジデント、北海道大学大学院医学研究科移植外科学講座特任助教、北海道社会保険病院外科部長、JCHO北海道病院外科部長を歴任。平成28年から市立函館病院に勤務。消化器外科科長、同科医療部長を経て、平成30年8月、副院長に就任。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本肝臓学会肝臓専門医。
市立函館病院
函館市港町1-10-1
☎0138-43-2000(代)
https://www.hospital.hakodate.hokkaido.jp/
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