鉄筋コンクリート造の寺院として
最も古い歴史を持つ
函館のコンクリート文化を象徴する寺院として二十間坂沿いに立つ「真宗大谷派 函館別院」は1668年、松前の専念寺6世浄玄が、現在の木古内町に阿弥陀堂を創設したことに始まる。北前船による北陸方面との行き来で海上交通が盛んとなり、利便性の高い港として賑わいを見せる箱館(現・函館市弥生町)へ1710年に移転。戊辰戦争時は仙台藩・徳川脱藩家臣団の本陣、終戦後は新政府軍の仮病院が置かれ、1876年の明治天皇初の北海道巡行に際しては行在所に充てられるなど、変わりゆく函館の歴史とともに歩み続けている。何度も大火に見舞われ建物を焼失、79年の大火後に防火のための区画整理が行われ、翌年、現在地に移り、90年に壮麗な本堂を再建したが、1907年の大火で類焼した。
15年に再建された現本堂は、度重なる火災を嘆いた当時の門徒総代・渡邉熊四郎の提案で耐火性の高い鉄筋コンクリートを用いて建設。本堂、鐘楼、四脚向唐門(正門)の3棟が国の重要文化財に指定されており、細やかな和風建築をコンクリートで表現した本堂は100年以上たった今でもひび割れが少なく、建築史資料としても価値が高い。また、地域との触れ合いを大切にし、大晦日には誰でも除夜の鐘がつけるなど門戸を広く開いている。
(ハコラク 2022年 4月号掲載)
真宗大谷派 函館別院
函館市元町16‐15
☎0138‐22‐0134
寺務所7:00~17:00
無休 P有り