銀座通りの顔だった旧梅津商店
歴史をたどり再現した内装が懐かしさを誘う
銀座通りの入り口に立つ「はこだて工芸舎」は柔らかなカーブを描く建物の印象からコンクリート造にも見えるが、実は木造モルタル造。大きなショーウインドーやガラス戸の入口、広い風除室、階段下に鎮座する大きな金庫が当時の面影を色濃く残している。前身の「梅津商店」は豪商・梅津福次郎氏(1858-1942年)が1890年に創設、一代で財を築く足掛かりともなった場所で、現在の建物は函館大火で焼失後の1935年に再建したもの。閉業後、梅津氏の養女・淑子さんが建物を守っていたが2014年に転居を決意、同年「はこだて工芸舎」代表の堂前守人さんが建物の喪失を惜しみ購入。畳下の板など当時の建材をそのまま活用して補強を入れながら、ほぼ再建当時の姿へと復元し、北海道の作家を中心とした工芸品の展示販売を行うギャラリーへと生まれ変わった。スタッフ立ち合いで見学可能な2階には古い帳簿、看板などを展示しており、梅津氏の足跡の一端に触れることができる。
(ハコラク 2020年4月号掲載)
はこだて工芸舎
函館市末広町8‐8
☎0138‐22‐7706
10:00~18:00
P有り
無休