函館朝市協同組合連合会(井上敏廣理事長)は、朝市に作業療法士など専門職の講師を招き、認知症対策や介護予防を地域の高齢者にアドバイスする新サービスに乗り出す。市内の町会単位で参加者を募り、タクシー会社などと連携して送迎手段の確保も検討する。介護施設の利用者を対象に試験導入中の買い物や食事を織り交ぜた「お出かけリハビリ」と併せて、市民の集客につなげたい考えだ。
市が17日に函館朝市ひろばで作業療法士らを対象に開いた研修会で、同連合会がお出かけリハビリの取り組みを紹介。終了後、趣旨に賛同する参加者との間で、介護施設を利用しない個人にも同様の事業を展開できないか検討した。
新事業では足腰に不安を抱える高齢者にも外出の機会を提供するため、町内の集合場所と朝市の間でジャンボタクシーなどを手配し、交通費の一部は同連合会が負担する予定。理学療法士や言語聴覚士らの助言を基に体の機能回復を促す方法を身につけ、朝市で買い物や食事を楽しんでもらう。運用には市の「元気いっぱい商店街等支援交付金」を活用し、参加費はできるだけ低く抑える方針だ。
作業療法士の資格を持ち、事業参画を予定する福祉用具販売「クオリティーライズ」(人見町)の溝部和(ひとし)代表は「外出したくても自分一人では出かけられないという高齢者の手助けになる。介護予防による医療費削減や朝市での経済効果などメリットは大きい」と話す。
同連合会は事業の詳細な計画を立てた上で、今秋をめどに運用を開始したい考えで、松田悌一事務局長は「かつては朝市でよく買い物した高齢者が再び足を運ぶ起爆剤としたい。疲弊する商店街が多い中、こうした取り組みが全国のモデルケースとなることを目指したい」と話している。(山田大輔)