函館市椴法華地域の「ホテル恵風」(恵山岬町61)は1日から、椴法華振興開発(大津廣社長)に経営主体を移行して営業している。同社は昨年度までの第三セクター、市椴法華振興公社の解散に伴って昨年8月に設立。豊かな海の幸を使った料理や近隣の恵山での登山をPRしながら、ホテルを拠点とした「まちおこし」を目指す。
恵風は1997年にオープン。客室は和室を中心とした29室で、うち客室露天風呂を備えた和洋室は3室。美容に効くという「炭酸水素塩泉」と殺菌効果のある「ナトリウム塩化物泉」の2種類の源泉が湧く浴場が人気だ。
振興開発によるオープンに合わせ、新たな設備投資などは行わず、客への手厚いもてなしと、これまで以上に地元食材を使った食事の提供を第一にスタート。職員を10人減らしたが、厨房を中心に配置。現在近隣の漁協に出向いて旬の魚を使う準備を進めており、同ホテルホームページ上などでうたう「美味しいケープ」の名を広げようとまい進中だ。
また、恵山への登山を目的とした宿泊客が例年多いことから、恵山を押し出したイベントの開催も視野に入れているという。小堤文郎支配人は「中でも日帰り温泉は地元の方々にとても愛されており、ホテルが生活の一部になっている」とし、「リピーターや、かつて来ていただいていたお客様にまた足を運んでもらえるように魅力を発信したい」と話す。
5月の大型連休は例年満室状態だといい、経営を担い最初の繁忙期に備える。大津社長によると、シーズンや祝日時の宿泊料金の値上げは行わず、定期的にホテル経営の改善点などを話し合う委員会も立ち上げる予定で「椴法華地区の財産である恵風を守りながら、四季折々の魅力を生かした経営をしたい」と意気込んでいる。(蝦名達也)