臥牛山12月26日・介護離職ゼロ
最近、新聞、テレビなどに「介護離職ゼロ」という言葉が登場する。究極の目標とはいえ、そう願う思いは共通。現実に親の介護のため離職を余儀なくされる人は多い。年間10万人超と推定する向きもあり、現代が抱える大きな社会問題▼例え理解のある企業、職場であっても、仕事と介護の両立は容易ではない。先日、本紙で紹介していたオリックス・リビング(東京)が行った調査でも「両立ができる」と答えた人は、わずか1割(9・7%)だった▼このままでは企業の人材維持にも影響しかねない。一億総活躍社会も色あせてくる。施設が、人が足りない…八方ふさがりになって職を離れるしか道がない。なんとかしなければ…政府も重要政策課題に位置づけた▼「介護施設の整備や介護人材を育成する」。まず打ち出した介護施設を増やすことに異論はない。施設が増えれば、雇用の枠も広がり、引いては離職防止にもつながる。ただ、それだけでは…▼働く人が必要な数だけ確保されないことには、施設は機能しない。当然ながら教育や研修の充実は欠かせないが、最も求められているのは待遇の改善。そこに国がどう関わるのか。それなくして「介護離職ゼロ」は見えてこない。(A)