臥牛山12月25日・古舘氏「報ステ」降板
幼い頃、金曜日の午後8時はプロレス中継に夢中だった。アントニオ猪木率いる新日本プロレスの過激な試合を彩っていたのが古舘伊知郎アナの実況。「闘いのワンダーランド」「おきて破りの逆サソリ固め」―。彼が繰り出す名フレーズが楽しかった▼そんな古舘氏がニュースキャスターをやると知った時には驚いた。プロレスを振り出しにF1や水泳をしゃべった後、巡ってきた「報道ステーション」(テレビ朝日―HTB)のアンカーマンの座。良くも悪くも癖が強く、氏やコメンテーターの発言が物議を醸すこともあった▼24日、古舘氏が番組を来年3月いっぱいで降板すると発表された。番組スタートから12年経ち「新しいジャンルに挑戦したい」として局の慰留を振り切ったと報じられている▼「お疲れさま」と言うにはまだ早いが、ニュースキャスターは彼の個性や持ち味が十分に発揮されていなかった印象を受ける。〝さすが古舘〟と思わせる、あらゆる言葉を駆使したスポーツ実況にもう一度触れたい▼前番組「ニュースステーション」の久米宏氏は番組の最終回、手酌でビールを飲み干して視聴者を驚かせた。古舘氏がキャスター生活をどう締めくくるか、注視したい。(C)