臥牛山5月20日・燃費データ不正
住宅や乗用車など、人生を左右しかねない大きな買い物にはカタログが付き物だ。いざ実際に購入し、その品質がカタログ通りならばそれに越したことはないが、少しでもスペック(仕様)が違っていたらがっかりするし、つくった企業への不信感を抱く▼三菱自動車に続き、今度はスズキに燃費測定データの不正が発覚した。2010年ごろに始まり、全16車種、210万台に及ぶ。会社を大きく成長させた鈴木修会長が謝罪に追い込まれた▼ここ数年、乗用車の燃費は飛躍的に向上し、「1リットル30キロ以上」をうたう車種の存在が珍しくなくなった。一時期ガソリン価格が急騰し、低燃費車を求めるユーザーを奪い合った結果だが、法令違反を繰り返した責任は重い▼燃費性能は走り方や路面状況によって大きく左右される。各社が測定する際にもテストコースの状況にばらつきがあり、机上の計算式を活用するに至ったのであろう▼国内メーカーが共用するテストコースを設けて同一条件で計測したり、または最高燃費を表示するよりも平均燃費を示す方がより確かなのかもしれない。競争はもちろん必要不可欠だが、消費者が信頼できる品質と指標が、ものづくり企業全般にあらためて問われている。(C)