臥牛山5月12日・広島から核なき世界を
広島の原爆ドームは、忘れてはならない負の世界遺産の一つだ。爆心地に近いながら奇跡的に倒壊を免れた建物はもちろん、地面は原爆投下時そのままのがれきの山であった。筆者も6年前に訪れたが、平和の尊さを改めて実感した▼オバマ米大統領が今月26、27の両日のG7伊勢志摩サミットに合わせ、27日にも被爆地・広島の平和記念公園を訪問することが明らかになった。現職の米大統領の訪問は初めてで、安倍首相が同行する▼オバマ氏は現地で演説し、改めて「核兵器のない世界」に向けた取り組みを続ける方針を示す見通し。ただ、原爆投下に対する謝罪は行われず、日本政府も求めない方針だという▼背景には、米国内で投下を正当化する意見が根強く残っているから。2015年に米国の民間機関が行った調査では、米国人の56%が「正当」と答え、「不当」は34%。しかし、年を経るごとに正当とする回答は減り、若い世代では批判する見方が強くなっている▼原爆投下が日本のポツダム宣言受諾の契機となったという見解がある一方で、数えきれないほど多数の一般市民の命が失われた事実は変わりない。今回の大統領訪問が、真の「核なき世界」構築に向けた出発点となることを願う。(C)