臥牛山5月11日・頑張る1本足の石垣
死者49人、関連死18人、避難者1万1990人、エコノミークラス症候群49人(9日現在)を出した熊本地震から間もなく1カ月。民家も多く倒壊し、いつ家に帰れるか分からない▼中でも加藤清正が築城し、熊本観光の目玉で震災復興の象徴でもある熊本城。本丸の一つ、飯田丸の南西側にある五階櫓の石垣が大崩落し、床下がむき出しになるなど、13の重要文化財が被災▼西南戦争で焼失し、再建された天守閣も傾き、石垣6カ所が崩れた。特に飯田丸の重い五階櫓を積み重ねた1本の石垣で懸命に支えている姿は痛々しい。自慢の「忍び返し」や天守閣の屋根瓦も無残▼石垣といえば、五稜郭で2年前に幅約10メートル、高さ2メートルにわたって崩壊。石垣にたまった水が結氷後、暖気で急激に溶け、ゆがみができたためだが、今春に復旧。築城に石垣がいかに大事かを証明した▼被災校の授業が再開するなど徐々に日常を取り戻す。政府は熊本地震を初の「非常災害」に指定、約7800億円の補正予算を検討する。熊本城の再建には最低でも10年はかかる。「昔の工法を踏襲するか、耐震技術を採用するか、時間をかけて検討する」(熊本城調査研究センター)。頑張れ、400年支えてきた1本の石垣。(M)