臥牛山5月7日・集中力
「お前は落ち着きがない、集中力がない」。子どものころ、何をやっても長続きせず、親によくしかられた。日記や朝のラジオ体操は言うに及ばず、絵画ともなるとからっきしであった▼ライオンズ国際協会が主催する世界平和ポスターコンテストで、函館の中学2年生鳴海清花(きよか)さんの作品が、国際大賞に次ぐ優秀賞23点に選ばれた。世界65の国と地域から約40万点が出品された中、次々と審査をくぐり抜けた。快挙というほかない▼5日付の本紙で紹介したが、作品は圧巻の一語。遊園地をテーマに描かれた1枚は、国旗で描かれた観覧車、お菓子でできたブランコをメーンに、白い鳩や民族衣装を身にまとった各国の人々などが非常に繊細なタッチで描かれ、平和を願う気持ちが伝わってくる▼完成までに2週間を要した大作で、時には1日8時間をかけたという。黙々とキャンバスに向き合う根気強さが垣間見えるが、当の鳴海さんは「色を重ねるのが楽しいから、全然飽きない」とけろり▼幼少期から一つの物事に集中して取り組むことで、雑音に負けない、逆境にめげない精神力が育まれる。ただ「言うは易し、行うは難し」。彼女の集中力が少しでも欲しいという大人は多いのでは。(C)