臥牛山4月10日・大人の引きこもり
誰かにひどいことを言われたりショックな出来事があったりして、学校や会社に行きたくないと感じる瞬間は誰にでもある。大半の人はそれでも気力を振り絞って外に出ていくが、受けた傷の深さゆえに家に引きこもってしまうと、元に戻すのは大変な苦しみを伴う▼先日「大人の引きこもり」を取り上げたテレビ番組で、自宅で暴力を振るう息子の部屋のドアを突き破って怒鳴ったり、連れ出すシーンが流れたことに対し、引きこもり経験者や医師らが「問題あり」として会見した▼引きこもりの経験者らが会見を開くケースはあまり例がない。自室にこもっていると孤独。パソコンなどを介して他人とのやりとりはあっても、家族以外の生身の人間と接する機会は限られるであろう▼特に中高年の場合だと、長年の人生で積み重ねてきたプライドやメンツが邪魔をし、なかなか素直にはなれない。よしんば暴力的な手法で外に引きずり出されたとしても、元の木阿弥に戻る可能性が高い▼家庭訪問という手法の難しさを指摘する意見もあるだけに困難を伴うが、当事者の居場所をつくり、そこで信頼できる人に出会えるかどうかが重要になる。暴力では何も解決しないというのは、万事に共通する。(C)