臥牛山4月7日・ふるさと納税に苦言
「ふるさと納税」という名の自治体への寄付が広がっている。過疎などで税収減に悩む地方の自治体に対する格差是正策として生まれた制度だが、残念ながら見返りの特典狙いの“納税”の色彩が一部で▼創設されたのは2008年。地方自治体に2000円以上寄付すると住民税の還付や控除が受けられる。自治体には特典を贈ってもメリットがあり、寄付者には特典が贈られてくる楽しみが。中には10億円を超す自治体もある▼その一つ、全国上位の寄付を得ている十勝の上士幌町ではその恩恵を受け、子ども園の保育料を無料にした。自治体のメリットは財源確保だけではない。同町では特産品を使っているが、わが町、村を知ってもらえ、特産品も宣伝できる▼さらに増えるほど地域の生産者や製造業者は潤うのだからまさに一石二鳥の制度。だが、その特典が変にエスカレートし、制度の趣旨、精神を逸脱し、疑問が持たれるケースが出始めている。例えば商品券や家電製品など▼ここまできたら打算の色が濃くにじんでくる。総務省も問題ありとして1日、全国の自治体に自粛を要請した。商品券など金銭類似の物、電気・電子機器などの資産価値のある物は慎むように、と。当然である。(A)