臥牛山4月2日・SOSを伝える公衆電話
2年間、行方が分からなくなっていた埼玉県朝霞市の15歳の女子中学生が保護された事件。東京・中野駅の公衆電話でSOSを伝えた場面を目撃した人が、「かっこうも含め、今どき、あまり公衆電話を利用した人を見かけたことがなかったので、変に思った」とテレビで話していたのを見て、改めて時代の遠さを感じた▼「お金を送ってほしい」。今なら、詐欺事件と思われかねないが、学生時代、親に連絡するのは、下宿の公衆電話だった。親しい友人と連絡を取る際もボックスに入ったとき、何か自分の空間を持てた気がした▼電気通信事業法の施行規則で、ある程度の設置基準が決められている。それでも、携帯電話の普及などに伴って、設置件数は年々減少。2014年度末で、約18万3700台と、10年前と比べて26万台近く減っている▼11年の東日本大震災の際、他の情報インフラが途絶した状況の中、公衆電話のありがたさがクローズアップされた。今回の事件を機に、ネット上では「使い方が分からない子どもが増えたので、親子で一緒に確認した」などの声も上げられている▼新生活が始まるこの時期、緊急時や災害時のために、ちょっと忘れられた存在を確認するのもいい。(Z)