臥牛山3月11日・司法の変化
東日本大震災からきょうで丸5年を迎える。甚大な被害を受けた東北3県の中でも、福島は岩手、宮城に比べて「周回遅れ」といわれる。言うまでもなく福島第一原発事故が尾を引いている▼先日再稼働した関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)に関し、大津地裁が9日、運転差し止めを関電に命じる仮処分を決定した。昨年4月に仮処分を決定した福井地裁は別の裁判長が差し止めを取り消したことで再稼働していたが、運転中の原発を停止する司法判断は初めてだ▼この決定は函館市が起こしている大間原発(青森県大間町)の差し止め訴訟に大きな追い風となるはずだ。なぜなら、今回訴えたのは滋賀県の住民たち。原発が立地する福井の隣県からの主張が認められた意味は大きい▼避難計画に対しても、決定では「自治体ではなく、国が主導し具体的計画を早急に策定する必要がある」と言及。住民らの人格権が侵害される恐れが高いと結論付けた。函館市の訴えともほぼ一致する▼事故以前は、立地地域以外は原発の当事者ではない―との認識が崩されることはなかったが、その建前が意味をなさないことはすでに明白。この5年で、司法がいい意味で変わったと思いたい。(C)