羽月ちゃんは下を向き、両手をそろえ、正座する狭山市の女の子。正座すると
母親に怒られないと思ったのか。3歳になると、遊んで、食べて、はしゃいで楽しいはずなのに、22歳の母親と同居する24歳の男性から虐待を受けて…▼やせ細った体に複数のあざ、胃には食べ物はなく、死亡する2日以前から食事を与えてもらえなかった。母親らは羽月ちゃんを一人で残したまま外出、LINEで「帰ったら(虐待を)やろう」とやり取り▼顔には熱湯をかけられたとみられるやけど痕。犬のリードのようなもので縛られ、閉じ込めるためか首にロープをくくりつけるような金具も付いていた▼昨秋から凄惨(せいさん)な虐待が日常化。布団に巻かれて玄関前に放り出されたことも。近所の住民は「ドンドンという音が毎日のように聞こえ、開けて、開けて」と泣け叫ぶ声を聞いている。接触した警官は羽月ちゃんのけがを確認できず、児童相談所にも通告しなかった▼救えなかった幼い命。熱湯をかけられ、さぞ熱かっただろう。屋外に放置され、さぞ寒かっただろう。祖父母はいなかったのか。かわいい盛りの孫の顔を見てほしかった。羽月ちゃんの「痛々しい正座」のSOSは届かなかった。(M)