臥牛山1月12日・名工女性枠
「ものづくり日本」と言ってはばからないほど、わが国の産業技術は世界に誇って余りある。それだけ各分野に優れた人材がいるということだが、卓越した人は「現代の名工」としてたたえられている▼記録が残る1987年度以降、その称号が捧げられた人は約3900人。ただ、ほとんどが男性であり、女性は216人と一割にも満たない。女性の活躍が顕著になった昨今も、格差は続いたまま▼本当に女性の対象者は少ないのか…誰しも抱く思いだが、厚労省は女性名工の発掘のため、新たに女性推薦枠を設けることを検討しているという。だが、それは趣旨に照らしてどうなのか。あえて女性推薦枠を設けること自体、差別とも受け取られかねない▼確かに、今でも技能者人口は男性が多い。それと女性に別枠を設けるのとは別の話。あくまで技能で判断すべきで、女性推薦枠をもって女性の名工が増えたとしても、つじつま合わせでしかない▼それより推薦方法の見直しが有効のような気がするのだが。都道府県や業界団体からの推薦にとらわれず、例えば幅広く推薦してもらえるような道を開くとか。大事なのは技能本意という視点。この「現代の名工」は来年度、50回を迎える。(A)