北海道新幹線を使って首都圏に函館の鮮魚を定期輸送する取り組みが15日から始まる。函館市内の鮮魚店「マルショウ小西鮮魚店」(小西一人代表)と「マルヒラ川村水産」(川村淳也社長)が道内で初めて鮮魚を東京に送る。21日からは道南の工場で製造した駅弁を新幹線で東京に輸送し販売する試みもスタートする。
新幹線をめぐっては、JRと宅配大手の佐川急便が貨客混載事業を始めている。今回の鮮魚や駅弁の定期輸送は、JR北海道、JR東日本、ジェイアール東日本物流の3社が共同で実施。鮮魚などは新幹線車内の業務用空きスペースに積載する。
「小西鮮魚店」は、30年ほど前から空輸や陸送で全国各地への鮮魚の卸売りを手掛けてきた。「川村水産」は15年ほど前から航空便で鮮魚を定期輸送し、都内の一流ホテルやミシュランガイド掲載レストランなど、数多くの顧客と取り引きがある。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大以降、飛行機の減便が相次ぎ、当日便での輸送ができないことが課題となっていた。
JRと両店によると、15日は午前10時53分新函館北斗駅発のはやぶさ22号に両店の鮮魚を載せる。「小西鮮魚店」は、ホッケやタコ、アイナメなど、「川村水産」はサクラマスやウニ、キンキなどを積み込む予定。両店の鮮魚は東京で寿司店やホテル、レストランに配送される。
小西代表は「産地直送の魚は消費者に喜んでもらえる。当日便が復活し、また新鮮な魚を届けることができ、本当にありがたい」、川村社長は「函館ブランドの鮮魚は全国の一流料理人からも高い評価を得ている。時間的にも、輸送量でも航空機とそん色がないので、コロナ禍の前のように多くの飲食店に鮮魚を届けていきたい」と話している。
JRによると、両店の定期輸送のほかにも、朝採れの鮮魚やアスパラガスを新幹線でスポット輸送する計画も4~5月中にある。
また、21日からは、北海道キヨスクの「駅弁の函館みかど」の工場で製造した駅弁「蝦夷(えぞ)ちらし」「鰊(にしん)みがき弁当」計80食を新幹線で運び、東京駅構内の店で販売する取り組みも始める予定。
川村社長は「都内で函館の海産物のおいしさを知ってもらい、将来的には直接函館に足を運ぶ人が増えてくれればうれしい」と期待を込めている。(小川俊之、飯尾遼太)