函館と中国・天津を結ぶ天津航空の定期路線が3月31日、開設1周年を迎えた。利用率は90%以上を維持し、路線開設以降、ほぼ満席状態での運航が続いている。この日の到着便の利用者は5割程度の92人とやや少なかったが、出発便には多くの土産品を手にした人が搭乗し、道内観光を終えて帰路に就いた。
同路線は2014年11月に定期チャーター便として運航が始まり、15年3月31日から定期便化した。使用機材は180人乗りのエアバスA320で、毎週火、木曜日の週2往復している。市港湾空港部によると、就航から昨年末までの往復の利用者は2万6799人(利用率94・1%)。今年1月は2781人(同97・6%)、2月は2778人(同97・5%)とほぼ満席に近い運航状況が続いている。
函館と中国本土を結ぶ他の路線の利用率は、中国国際航空の北京線が5割程度、昨年12月就航の中国東方航空の杭州線は6~7割程度で推移。天津線の利用率は北京、杭州線を大きく上回り、同部は「驚異的に高い数字だ」とする。
1周年となった31日は市や空港ビルデング職員が歓迎の横断幕を持って、観光パンフやイカの珍味を配布した。旅行代理店関係者の男性によると、この日出迎えたツアー客は5泊6日で函館や大沼、ニセコ、札幌などを回り、4月5日に函館から現地に帰るという。男性は「食べ物ならカニが人気。お土産には馬油やオルゴールを買う人が多い」と話していた。
同社日本支社(大阪)は「利用客の8~9割がツアーの団体客」とし、天津ばかりではなく、北京や周辺都市の広域から集客を図るよう旅行商品が売られているという。今後の増便については「機材繰りや地上業務の関係など条件が合致しないと実現できない」とした。
さらに、中国民用航空局に路線計画を申請している天津-青森線の開設時期について「めどは立っていない。現時点で未定」とする一方で、「(路線が開設すれば)函館と青森を新幹線やフェリーで結ぶ商品も造られるだろう」としている。(今井正一)