国内の魅力ある鉄道旅行商品を表彰する本年度の「鉄旅オブザイヤー」グランプリに、道南いさりび鉄道(函館、小上一郎社長)を利用した日本旅行(東京)のツアー「観光列車『ながまれ海峡号』に乗ろう」が選ばれた。受賞により同車両の知名度が国内外に知れ渡ることで、関係者からは喜びの声が上がり、今後の集客に大きな期待が広がっている。
埼玉県の鉄道博物館で行われた授与式(25日)には、小上社長のほか、ツアー企画を担当した日本旅行北海道地域創生推進室の永山茂室長、日本旅行新規事業室鉄道プロジェクトの瀬端浩之さんらが出席した。永山室長はグランプリに「地元沿線の多くの皆さまの協力で成り立っている。グランプリ受賞はとてもうれしく、皆さまに心から感謝したい」と述べた。
車両を運行する道南いさりび鉄道にも多くの注目が集まった。小上社長は「今後の事業展開に大きな弾みとなったばかりでなく、地域活性化の大きな力になるものと確信している」と力を込めながら、「日本旅行の関係者や沿線地域の皆さま、社員の努力のたまもの。今後も皆さまとともに地域の魅力を掘り起こし、発信に努めていく」と意気込む。
ツアーに協力する団体などからも喜びの声が上がっている。上磯駅で立ち売りを行い、客をもてなす上磯駅前商店会の伊藤輝会長は「地道に努力してきた結果が実を結んだ。この受賞がきっかけで、より前向きに協力していけるし、我々も一緒になっていさりび鉄道や観光を盛り上げていきたい」と協力を惜しまない様子。茂辺地駅でバーベキュー「いさりび焼き」を提供する上磯郡漁業協同組合はまなす支所の金子久支所長代理は「グランプリ受賞を大変うれしく思う。地域を盛り上げるため、今後も協力していきたい」と話す。
食事や催しなどで協力する民間企業なども喜んでいる。海鮮丼に見立てた「びっくりスイーツ丼」を提供するプティ・メルヴィーユの遠藤薫代表は「ツアーに携われたことをとてもうれしく思う」と喜び、車内で講談を披露した函館在住の講談師、荒到夢形さんも「乗客はとても熱心に聞いてくれ、やる気の出る舞台。素晴らしい沿線で今後も講談ができれば」と協力の継続に意欲を示した。
同ツアーは、日本旅行が企画から商品造成、サービス提供までを行う日本で初めての運行形態として昨年5月から始まり、これまでに15回開催している。毎回ほぼ満席の人気ぶりで、若者から高齢者までの約600人が参加し、好評を得ている。永山室長は「香港や台湾などの訪日外国人旅行者からの問い合わせも多くある」としながら、「新年度はツアー数を2倍近くまで増やし、訪日外国人専用のツアーなども考えながら対応していきたい」としている。
グランプリに輝いた同ツアーの本年度分は2、3月にそれぞれ1回ずつ予定している。同社によると2月11日に開催するツアーは26日現在、少しの空きがあり予約受付中。今回は車窓からの景色を楽しみながら、魚まさの「函館海鮮・満喫料理」や北じまの「北の豆あんぱん」などが味わえる予定。永山室長は「鉄旅オブザイヤーで日本一に輝いたツアーをぜひ体験してほしい」と呼び掛けている。
問い合わせは北海道オプショナルツアーズ(011・212・1170)へ。(野口賢清)