格安航空会社(LCC)バニラ・エア(千葉県成田市)の五島勝也社長は22日、函館市役所で工藤寿樹市長と共同記者会見を行い、来年2月19日から函館―成田線、3月18日から函館―関西線を新規就航すると発表した。函館空港に国内線LCCが乗り入れるのは初めてで、ともに1日1往復運航する。同社は成田空港を拠点として台湾や香港、ベトナムなどに路線を展開しており、国際線乗り継ぎの利便性向上や外国人観光客の増加に期待が懸かる。
関西線は同日から4月上旬までの季節便としてスタート。以降は需要が見込める繁忙期に運航し、予約状況を見ながら年間運航を目指す。新規2路線の運航機材はエアバスA320(180人乗り)を使用。片道運賃の最安値は成田線が4990円、関西線が5890円。
運航初日のスケジュールは成田発午前11時45分で、函館着は午後1時25分。折り返し便は函館発同2時5分で、成田着同3時45分。関西発は同12時15分で、函館着は同1時55分。同2時35分に函館を出発し、同4時45分に関西に戻る。
同社の国際線就航地は、台北、高雄の台湾2都市と香港、ベトナム、12月25日に就航するフィリピンの5カ所。函館線の開設で国内就航空港は6カ所目になり、成田便を1日最大7往復運航する新千歳と合わせて道内発着路線は3路線、1日最大9往復に拡大する。
工藤市長は会見で「新たな国内外の客層が来るきっかけになる」と期待感を示した上で「できるだけの支援策を取りながらバックアップしたい」と述べ、来年4月から新規国内路線に対する着陸料軽減策を実施していく考えを示した。
こうした市の協力態勢や「函館は観光資源が豊富で需要が見込める」(五島社長)ことから路線開設につながったといい、函館線の初年度の利用率は85%を目指す。五島社長は「函館の魅力を首都圏やアジアを中心とする世界に発信し、国内外から多くの観光客を函館に運びたい」と話した。(山田大輔)